YMO世代の気持ち

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【番外編】島村周平のオカルトウォーカー

【神回】お笑い怪獣はなぜ霊に憑かれないのか? 伝説の楽屋ドッキリ事件の真相!

(画面:怪しげな照明のスタジオセット。テーブルを挟んで島村とルリコが座っている)

島村 「さあ、始まりました『島村周平のオカルトウォーカー』!  どうも島村です、お願いします!  いやー、怪談といえば『緊張と緩和』ですが……僕の財布の紐は常に『緩和』しっぱなしです! 中身が入ってないからね! ハハハ!」

(スタジオ、静まり返る)

ルリコ 「……。」

島村 「あれ? ルリコさん? そこは『うまい!』とか……」

ルリコ 「島村さん。……今、スタジオの空気が、霊的にではなく物理的に凍りつきました。寒いです」

島村 「うわっ、キツイ! 相変わらず返しが鋭利!  ……まあ、僕の芸が寒いのは霊障のせいってことにしておいてくださいよ(苦笑)」

ルリコ 「霊のせいにするのは良くないですよ。実力です。……さて、本題に行きましょうか」

島村 「スルーされた! メンタル削られるなあ……。  で、今日のテーマは何ですか?」

ルリコ 「今日のテーマは、芸能界の都市伝説……『なぜ、お笑い怪獣・アカシヤさんは一度も心霊体験をしたことがないのか?』です!」

島村 「おおっ! アカシヤさん! 僕らの神様じゃないですか!」

(テロップ:芸能界七不思議! お笑い怪獣最強説!?)

島村 「これ、有名な話ですよね。アカシヤさんって、あれだけ芸歴が長くて、いろんなロケに行ってるのに、『幽霊を見たことがない』『金縛りにあったこともない』って言うんですよ。  業界では『陽の気が強すぎて霊が逃げる』とか『喋り声がうるさすぎて霊がかき消される』とか言われてますけど(笑)」

ルリコ 「ええ、よく聞きますね。でも島村さん、実は一つだけ、『例外』があったのをご存知ですか?」

島村 「えっ!? 例外? アカシヤさんが心霊体験をしたことがあるってことですか?」

ルリコ 「はい。表向きには『機材トラブル』や『ボヤ騒ぎ』として処理されましたが……去年の夏、あるテレビ局の楽屋で起きた事件。  私、その現場の残留思念を視てしまったんです」

島村 「うわー、気になる! 何があったんですか!?」

ルリコ 「あの日、アカシヤさんの楽屋には、『5体の未熟な幽霊たち』と、彼らを引率する『ジャージ姿の若い男性の霊』が潜入していたんです」

島村 「ええっ!? 1体じゃなくて5体!? しかもジャージの男って、引率の先生か何かですか?」

ルリコ 「ええ、おそらく。そのジャージの男性は、腕組みをして、後ろから生徒の幽霊たちを見守っていました。  どうやら彼らは、あの世の学校で『人を驚かす試験』を受けている最中だったようです」

島村 「うわあ……猛獣の檻に遠足に来ちゃったわけですね」

ルリコ 「ええ。彼らは次々とアカシヤさんを驚かそうとしました。  まず、フードを被った現代っ子風の少年の霊が、楽屋の大型モニターを霊力でハッキングして、不気味なノイズと金切り声を流したんです」

島村 「うわっ、王道ですね! 『ザザッ……』ってやつ。さすがにアカシヤさんもビックリしたでしょ?」

ルリコ 「いえ。アカシヤさんは弁当のキムチを口に入れたまま、モニターに向かってこう叫んだんです。  『おいおい、タイミング早いわ!』って」

島村 「はあ!? タイミング!?」

ルリコ 「『酸っぱいもん口に入れた瞬間に脅かされてもリアクションできへん! 飲み込んで一息ついた時が一番気が緩んでるんや! そこを狙わな!』……そうダメ出しをしたんです」

島村 「いやいやいや! 心霊現象にダメ出し!? ポルターガイストの演出指導してるじゃないですか!」

ルリコ 「次は、派手な着物を着たギャル風の幽霊です。彼女は鏡の中から血まみれの顔を出して、視覚的に攻めました」

島村 「怖っ! それはさすがに怖いでしょう! 鏡越しですよ?」

ルリコ 「でも、アカシヤさんは鏡を見ながら髪をセットしつつ、こう言ったんです。  『お姉ちゃん、立ち位置が悪いわ。そこじゃメインカメラから被ってまうがな』

島村 「カメラ割り気にしてるー!!(爆笑)」

ルリコ 「『あと血糊が多すぎる! それじゃ視聴者が引いてまう! ギリギリを攻めな!』って。  彼女、鏡の中で必死にメイク直しさせられてましたよ」

島村 「もはや新人アイドルの説教部屋じゃないですか! アカシヤさん、相手が幽霊だって気づいてないんですか?」

ルリコ 「いえ、気づいていますよ。気づいた上で、『プロとしてスベってるのが許せなかった』んでしょうね」

島村 「ストイックすぎるでしょ……! で、最後はどうなったんですか?」

ルリコ 「ここからが一番凄まじいんです。  業を煮やしたのが、農作業帽を被った頑固そうなお爺ちゃんの霊です。彼は……どういう原理か分かりませんが、『白い軽トラ』を楽屋の中に突っ込ませたんです」

島村 「はい? ……軽トラ?」

ルリコ 「ええ。霊的な質量を持った軽トラが、壁をぶち破ってバックで突入したんです。  現実世界では『謎のガス爆発』として処理されましたが、霊的には完全に交通事故でした」

島村 「めちゃくちゃだ! 物理攻撃じゃないですか! さすがにそれはアカシヤさんも逃げたでしょ!?」

ルリコ 「いいえ。アカシヤさんは、埃まみれになりながら、お腹を抱えて爆笑したんです。  『ヒャーッハッハッハ! いきなり出オチかいな!』って」

島村 「出オチ扱い!?」

ルリコ 「『ドリフでもやらんでそんなん! で、壊して終わりかい! 窓から顔出して捨て台詞の一つも言わな!』……そう言って、お爺ちゃん霊を完膚なきまでに論破しました」

島村 「つ、強い……強すぎる……。幽霊側が完敗じゃないですか」

ルリコ 「ええ、全員心が折れて、うなだれていました。  ……でもね、島村さん。この話、ここで終わりじゃないんです

島村 「出た! ルリコさんの『その先』!」

ルリコ 「私、その後のアカシヤさんの行動も視えたんです。  幽霊たちがスゴスゴと帰ろうとした時、アカシヤさんは誰に言うでもなく、ホワイトボードを使って講義を始めたんです。  『緊張と緩和』について」

島村 「えっ? 講義?」

ルリコ 「はい。マジックで『緊張』と『緩和』って書いて。  『お化け諸君、よう聞きや。恐怖も笑いも一緒や。ずっと怖い顔をしてても飽きられる。フッと緩めた瞬間に落とすから怖いんや。これをフリとオチと言うんや!』……と」

島村 「……ちょっと待ってください」

(島村、真顔になってテーブルに身を乗り出す)

島村 「ルリコさん。それ、『怪獣からの直接指導(マンツーマン)』ってことですか?」

ルリコ 「ええ。未熟な幽霊たちへの、彼なりの愛あるアドバイスだったんでしょうね。ホワイトボードを使って、基礎からみっちりと……」

島村ズルい!! ズルすぎる!!

(島村、バン!と机を叩いて立ち上がる)

ルリコ 「ちょ、島村さん? カメラ揺れてますよ」

島村 「いやいや、おかしいでしょ! なんで幽霊なんですか!  僕ら芸人がね、あの『お笑い怪獣』から直接ネタのアドバイス貰うなんて、一生に一度あるかないかの奇跡なんですよ!?  それをホワイトボードまで使って!? 理論から!?」

ルリコ 「あ、島村さん、目がマジです……」

島村 「僕なんて若手の頃、挨拶しに行ったら緊張しすぎて『あ、あ、あはようございます!』って噛んで、苦笑いされただけで終わったんですよ!?  以来、怖くて近づけないまま、芸歴だけ重ねて中堅の微妙な位置にいるのに!」

ルリコ 「島村さん、生々しい悩み相談はやめてください」

島村 「なのに、その幽霊たちはダメ出しされた挙句、ネタ見せまで指導してもらったんですか!?  うわあああ、羨ましい! 僕もその楽屋に行きたかった!  僕だって『緊張と緩和』教わりたいですよ! だからオープニングトークでスベるんですよ!」

ルリコ 「……島村さん。先ほどのオープニングですが、緊張も緩和もなく、ただ『弛緩(しかん)』しきっていましたよ」

島村 「グハッ……! と、とどめを刺さないで……!」

(島村、ガックリと項垂れて席に座る)

島村 「……はぁ。嫉妬するなあ……。その幽霊たち、絶対『M-1』決勝いけますよ。  僕が死んだら、その教習所に入ろうかな……」

ルリコ 「島村さんが入っても、アカシヤさんに『君、生きてる時と芸風変わらんなあ』って言われて終わりだと思いますけど」

島村 「もうやめて! 僕のライフはゼロよ!  ……で、オチはどうなったんですか(涙目)」

ルリコ 「ふふ。……最後にはちゃんとオチもありましたよ。  帰り際、大阪のおばちゃんのような霊が、お礼に『飴ちゃん』を置いていったんです」

島村 「(鼻をすすりながら)……飴ちゃん?」

ルリコ 「はい。アカシヤさん、誰もいない空中に向かって『おおきに』って言って、その飴を食べてました」

島村 「……ははっ、完敗だ。  いやー、かっこいいなあ。笑いにも霊にも真摯に向き合う、それが怪獣なんですね。  僕もいつか、幽霊になってでも指導してもらえるように、まずは生きてるうちに頑張ります……」

ルリコ 「そして最後、生徒たちを引率していたジャージ姿の男性の霊が……アカシヤさんに向かって、深々と一礼していたんです」

島村 「え? あの引率の先生が?」

ルリコ 「はい。何か言葉を交わしたわけではありませんが、その背中は『ありがとうございました、怪獣』と語っているように見えました。  ……彼もまた、生徒たちの成長を願う、熱心な教育者だったんでしょうね」

島村 「……いい話だなぁ。  幽霊と芸人、住む世界は違っても、『人を楽しませたい(驚かせたい)』っていうプロ根性は通じ合うものがあるんですね」

ルリコ 「そうですね。……ちなみに島村さん、そのジャージの男性、ちょっとイケメンでしたよ」

島村 「そこは聞きたくなかった! また嫉妬要素が増えた!  ……というわけで、お笑い怪獣には霊も勝てないし、僕も勝てないというお話でした!  信じるか信じないかは、あなた次第です!」

(島村、ヤケクソ気味にポーズを決める)

(画面フェードアウト)